概要

電気設計は、住み始めてからの快適さを大きく左右する重要な計画です。コンセントの数や位置、照明の種類やスイッチの配置、LAN配線の計画など、一度壁の中に配線してしまうと後から変更するのが難しい(または高額な費用がかかる)項目が多いのが特徴です。

この記事では、コンセント・照明・LAN配線のそれぞれについて、計画の考え方を整理します。間取りの用語集の図面記号の知識も合わせてご覧ください。

コンセントの計画

部屋ごとのコンセント数の目安

コンセントの数は「足りない」と後悔する人が多い項目のひとつです※1。以下は部屋ごとの最低限の目安です。

部屋コンセント数の目安主な用途
リビング(16畳)6〜8口テレビ、ゲーム機、扇風機、掃除機、スマホ充電
ダイニング2〜4口ホットプレート、スマホ充電、ノートPC
キッチン6〜8口冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、トースター、食洗機、ミキサー等
主寝室4〜6口ベッド両側の充電、テレビ、空気清浄機、照明
子ども部屋4〜6口デスクまわり、エアコン、照明、充電
廊下・階段各1〜2口掃除機、足元灯
トイレ1〜2口温水洗浄便座、小型暖房
洗面所2〜3口ドライヤー、電動歯ブラシ充電、洗濯機
玄関1〜2口電動自転車の充電、季節の飾り用

コンセント配置のポイント

高さを用途に合わせる

一般的なコンセントの高さは床から25cmですが、用途に応じて高さを変えると使いやすくなります。

高さ用途
床から25cm一般的な家電(標準)
床から40〜50cm掃除機、扇風機(かがまずに抜き差しできる)
床から100〜110cmキッチンの作業台上の調理家電
床から180cmエアコン専用
床付近(床上5cm)床置き型の充電器、ロボット掃除機

家具の配置を先に決める

コンセントが家具の裏に隠れてしまうのは、よくある失敗です。ベッド、テレビボード、ソファ、デスクなどの配置を先に決めてから、コンセントの位置を検討してください。

配置で見落としやすい箇所

後悔対策
キッチンのカウンター上にコンセントがないカウンター上に2〜3口を配置
ダイニングテーブル付近にコンセントがない床コンセントまたは壁面に配置
掃除機を使いたい場所に届かない廊下や階段にも忘れずに配置
ベッドの枕元に充電用コンセントがないベッド両側の高さ40〜50cmに配置
屋外にコンセントがない外壁に防水コンセントを1〜2箇所
収納内にコンセントがないロボット掃除機の充電、コードレス掃除機の充電用

照明の計画

照明の種類

種類特徴費用の目安(1箇所)
シーリングライト天井面に直接取り付け。部屋全体を均一に照らす5,000〜30,000円
ダウンライト天井に埋め込む。すっきりした見た目3,000〜10,000円/個
ペンダントライト天井から吊り下げる。ダイニングテーブルの上などに5,000〜50,000円
ブラケットライト壁に取り付ける。廊下や階段に5,000〜30,000円
間接照明光源を隠して壁や天井に光を反射させる。雰囲気づくりに20,000〜100,000円/箇所
フットライト足元を照らす。夜間の安全確保3,000〜8,000円/個

ダウンライトの注意点

ダウンライトは見た目がすっきりするため人気ですが、以下の点に注意が必要です。

  • 交換型と一体型: LED一体型は器具ごと交換が必要(電気工事士の資格が必要)※2。交換型(ランプ別売)なら自分で交換できます
  • 配置の数: リビング16畳なら8〜12個程度が目安。少なすぎると暗く、多すぎると天井が穴だらけの印象に
  • 調光・調色機能: リビングや寝室には調光機能を付けると、時間帯や用途に合わせた明るさ調整ができます

スイッチの位置

スイッチの計画はコンセント以上に見落とされがちです。

ポイント説明
動線の起点に配置部屋に入ってすぐの場所にスイッチを設ける
三路スイッチの活用階段や廊下は、上下・両端で操作できるようにする
高さの統一一般的には床から110〜120cm。家全体で統一する
ベッド横にも寝室は枕元からON/OFFできると便利

照明計画の基本

  • 1室多灯: リビングなどの広い部屋では、ダウンライト+ペンダント+間接照明を組み合わせて雰囲気を変える手法があります
  • 色温度: リビングには電球色(2700K〜3000K)、作業スペースには昼白色(5000K)が一般的です
  • 照明計画書: ハウスメーカーや工務店から照明計画書が提示された場合、部屋ごとの明るさ(lx: ルクス)が記載されています
部屋推奨照度(JIS Z 9110)※3
リビング150〜300lx
ダイニング200〜500lx
キッチン作業面300〜500lx
寝室50〜100lx
子ども部屋(勉強時)500〜750lx
廊下50〜100lx
トイレ100〜200lx

LAN配線の計画

有線LANの重要性

Wi-Fiの速度は年々向上していますが、安定性では有線LANが優れています。以下のような用途では有線LAN配線が使われます。

  • テレビ(4K/8K配信)
  • デスクトップPC・ゲーム機
  • 在宅ワークのメインPC
  • NAS(ネットワーク接続ストレージ)
  • Wi-Fiアクセスポイントへのバックホール

空配管(CD管)の設置

新築時に有線LANの配線が不要でも、将来のために**空配管(CD管)**を通しておく方法があります。空配管があれば、後からLANケーブルや光ファイバーを通すことができます。

項目費用の目安
空配管の設置(1本)3,000〜5,000円
LANケーブル敷設(1本、配管あり)5,000〜10,000円
LANケーブル敷設(配管なし、後工事)20,000〜50,000円

空配管なしで後からケーブルを通す場合、壁や天井の開口・復旧が必要になり費用が大幅に増えます。

配線計画の一例

場所配線内容
情報分電盤(ハブの設置場所)各部屋からの配線が集まる場所。2階建てなら各階に1箇所が理想
リビングLANケーブル2本以上(テレビ+予備)
書斎・ワークスペースLANケーブル2本以上
子ども部屋各部屋にLANケーブル1本以上
主寝室LANケーブル1本(テレビ用)
Wi-Fiアクセスポイント設置箇所LANケーブル1本+電源。各階の中央付近の天井が理想

LANケーブルの規格

将来の通信速度向上を見据え、CAT6A以上のケーブルを採用するケースが増えています。

規格最大通信速度対応帯域
CAT5e1Gbps100MHz
CAT61Gbps250MHz
CAT6A10Gbps500MHz
CAT710Gbps600MHz

EV充電用コンセント

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の充電には、以下のコンセントが使われます。

種類電圧充電速度の目安費用の目安
100V普通充電100V/15A約8〜16時間(満充電)1〜3万円
200V普通充電200V/30A約4〜8時間(満充電)3〜10万円

現在EVを所有していなくても、200Vの配線と専用ブレーカーの確保だけしておけば、後からコンセントを追加する際のコストを抑えられます。充電コンセントの位置は外構計画の駐車場配置とも関連します。

太陽光発電との関係

太陽光発電を導入する場合、電気設計の段階で以下を考慮します。

項目内容
パワーコンディショナーの設置場所屋外または屋内に設置スペースが必要
分電盤の仕様太陽光発電対応の分電盤が必要
蓄電池の導入蓄電池を設置する場合は専用スペースと配線が必要
V2H(Vehicle to Home)EVの蓄電池を家庭用電源として使う場合は専用機器の設置場所が必要

太陽光発電の導入は建築段階で決めておくと配線がスムーズです。後付けの場合は屋根の構造や配線経路の制約を受けることがあります※4。

電気設計のタイミング

電気設計の打ち合わせは通常1〜2回です。コンセント・照明・スイッチの位置は家具・家電の配置に依存するため、家具の配置計画が先に必要になります。電気設計は壁の中の配線に関わるため、着工後の変更が難しい(または高額になる)項目です。

出典

  1. リクルート「2024年 注文住宅の後悔ランキング」 https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/chumon/c_knowhow/koukai_ranking/
  2. 電気事業法施行規則、電気工事士法 — コンセントの増設・照明器具一体型の交換は電気工事士の資格が必要 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000139
  3. JIS Z 9110:2011「照明基準総則」 https://www.jisc.go.jp/
  4. 資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電システムの設計ガイドライン」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/