概要

「家を建てたい」と思ったとき、多くのことを考える必要があります。そして最初の一歩に迷う方も多いです。住宅展示場に行くべきか、ネットで調べるべきか、まずお金のことを考えるべきか——。

結論から言えば、最初にやるべきことは**「自分たちの希望と条件を整理すること」**です。建築会社に相談する前に、自分たちが何を求めているのかを明確にしておくことで、その後のすべてのステップがスムーズになります。また、目的が曖昧なまま住宅展示場などに行ってしまうと、煌びやかな展示に目が眩み、考えが浅いまま契約に至ってしまうケースも少なくありません。

まずやること:希望と条件の整理

家づくりの出発点は、以下の3つを書き出すことです。完璧である必要はありません。現時点の考えで構いません。

1. なぜ家を建てたいのか

動機を言葉にしておくことは、想像以上に大切です。家づくりは判断の連続であり、迷ったときに立ち戻る軸になります。

  • 子どもの成長に合わせた間取りが欲しい
  • 賃貸の家賃がもったいないと感じている
  • 断熱性能の高い家で光熱費を抑えたい
  • 実家の近くに住みたい

理由はひとつでなくても構いません。家族がいる場合は、全員の希望を聞いておきましょう。

2. 譲れない条件と、あれば嬉しい条件

すべての希望を叶えることは、予算的にも現実的にも難しいです。最初から優先順位をつけておくと、後の取捨選択が楽になります。

分類
譲れない条件通勤時間60分以内、駐車場2台、耐震等級3
あれば嬉しい条件書斎、パントリー、庭
こだわらない条件外観デザイン、メーカーのブランド

3. 予算の上限

詳しい資金計画はこの段階では不要ですが、ざっくりとした上限は把握しておく必要があります。

  • 世帯年収から借入可能額の目安を確認する。「年収の○倍」ではなく、現在の家賃+貯蓄に回せている余力から計算するのがおすすめです(参考:『住宅ローンのしあわせな借り方、返し方』中嶋よしふみ 著)
  • 頭金として出せる金額を確認する
  • 月々の返済額として無理のない範囲を決める
  • FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談する場合は、建築会社との提携有無や相談範囲を確認し、必要に応じて独立系FPとも比較しましょう

資金計画の詳細は家づくりにかかるお金の全体像をご覧ください。

次にやること:情報収集

希望と条件がある程度整理できたら、情報収集に入ります。主な情報源は以下の通りです。

書籍

家づくりの全体像を効率よく把握するには、書籍が最も体系的です。ネット情報は断片的になりがちですが、書籍は一冊で基礎知識をカバーしてくれます。

まず1〜2冊読んでから、具体的な行動に移すことをおすすめします。

インターネット

個別のトピック(UA値とは何か、用途地域の種類など)を調べるには便利です。ただし、住宅系の情報サイトには特定の建築会社への送客を目的としたものが多いため、情報の中立性には注意が必要です。

詳しくは家づくりの情報収集のコツをご覧ください。

住宅展示場

実際の建物を見て、空間のスケール感や設備の質感を確認できます。ただし、展示場のモデルハウスは一般的な住宅より広めだったり、ハイグレードな建材・設備が使われていたりすることがあるため※1、「標準仕様でどこまでできるか」を意識して見学しましょう。

なお、展示場に行くと営業担当がつきます。まだ検討初期であることを伝えれば、過度な営業を避けられることが多いです。

よくある「最初の失敗」

いきなり住宅展示場に行く

条件が整理できていない状態で展示場に行くと、営業トークに振り回されやすくなります。各社の違いを比較する軸がないまま話を聞いても、「どこも良さそう」で終わってしまいます。

SNSの施主アカウントに影響されすぎる

InstagramやXには家づくりの体験を発信している施主が多くいます。参考になる情報もありますが、あくまで個人の体験であり、地域・予算・家族構成が異なれば最適解も変わります。

安易に間取り一括請求サービスを利用する

SNSやYouTubeでインフルエンサーが紹介していることもあり、間取り一括請求サービスの利用を検討する方も多いです。複数のハウスメーカーに個別に足を運ぶ時間がない方にとっては、確かに便利なサービスです。

ただし、このサービスを利用した時点で、請求先の業者であなたの担当営業が決まります。その結果、以下のような問題が起きることがあります。

  • 展示場訪問時の特典が受けられなくなる
  • 後から知人に紹介してもらいたい営業担当がいても、既に別の担当がアサインされていて変更できない

便利なサービスではありますが、条件が固まっていない段階で気軽に利用すると、選択肢を狭めてしまう可能性があります。

家づくりのタイムラインを知る

具体的に動き始める前に、家づくりの全体像で全体のスケジュール感を把握しておくことをおすすめします。「いつまでに入居したい」という希望がある場合は、そこから逆算して動き始める時期を決められます。

参考書籍

  • 『家を買いたくなったら』(長谷川高 著、WAVE出版)— 住宅購入の判断軸を整理するのに役立つ一冊です。
  • 『最高の家づくり「についての」入門書』(エクスナレッジ)— 初心者向けに家づくりの流れを分かりやすく解説しています。
  • 『住宅ローンのしあわせな借り方、返し方』(中嶋よしふみ 著、日経BP)— 年収倍率ではなく、家計の実態から借入額を考えるアプローチが参考になります。

※ 書籍のタイトル・著者情報は執筆時点のものです。改訂版が出ている場合は最新版をお読みください。

出典

  1. HOME4U 家づくりのとびら「やめた方がいいハウスメーカーとは?失敗しない選び方や安心の大手ハウスメーカー」— モデルハウスは一般的な住宅より広め・ハイグレードになりやすい点の参考 https://house.home4u.jp/contents/maker-90-19820